On7「その頬、熱線に焼かれ」 原爆乙女の矛盾と葛藤を活写
劇団チョコレートケーキの古川健が2015年に新劇女優7人のユニットであるOn7(オンナナ)第2回公演のために書き下ろした作品で、演出は日澤雄介。
原爆投下から10年の1955年。広島で被爆し、顔や腕、脚などにケロイドが残った独身女性25人が選ばれ、最先端医療のアメリカで整形手術を受けるために渡米する。彼女たちは「原爆乙女」と呼ばれた。
舞台はニューヨークの病院ロビー。手厚い看護と献身的な医師たちにより手術は順調に進んでいたが、智子(安藤瞳=青年座)が術後に原因不明のまま死亡する。さほど難しい手術ではなかったことから医師、関係者、そして手術を控える女性たちに動揺が広がる。
敏子(尾身美詞=青年座)、昭代(吉田久美=演劇集団円)、節子(保亜美=俳優座)、信江(小暮智美=青年座)、弘子(渋谷はるか=文学座)。開きっぱなしの目、癒着した口……障害はさまざま。手術が成功し、帰国を待つばかりの美代子(下池沙知=文学座)もいる。
智子は6人には見えないが常に彼女たちに寄り添い励ます。