「スケバン刑事Ⅲ」が大ヒット 高校へ電車通学が不可能に
大西結花編 <5>
ドラマ「スケバン刑事Ⅲ」がはじまった1986年の秋、私は現役の高校生だった。撮影が関東地方の山中でのロケがメインだったこともあり、早い時は朝の4時ごろに家を出て、帰りは遅い時で深夜の2~3時。自分のベッドでは2~3時間寝られればいいほう。高校が舞台のドラマのためほぼ一日制服を着ていたけれど、実際に通っていた高校へは足が遠のくばかりであった。
私の役どころは「風間三姉妹」の長女、折り鶴の結花。次女役の中村由真ちゃん、三女役の浅香唯ちゃんとはすぐに打ち解けて、仲良くなれた。撮影は超のつく過酷さで、昼間に唯がダウンしたから、由真と私で励まし、由真が膝を擦りむいたら、唯と真っ先に駆けつけ、お互いで助け合う。戦友のようだったと思う。
私は立ち回りが不得意で、「アクションシーンを出来るだけ少なくして欲しいなぁ」とお願いしたりしたこともある。ある時には前転するときに逆立ちのまま、止まってしまったことも。スカートが真っ逆さまになってめくれて、地面からスタッフさんの目がテンになっているのが見えた。
ドラマは高視聴率をいただき、半年の放送予定が1年に延長された。三姉妹で歌った「リメンバー」がオリコンチャートで首位になり、映画にもなった。この年末、サラリーマンの皆さんが忘年会の出し物にセーラー服やポニーテールのかつらを借りに貸衣装屋さんに集まったりしていたらしい。この目で見たことではない。テレビのお仕事をしていながら、テレビを見ることもほとんど出来なかった。