「JFK」ケネディ暗殺の“陰謀論” 犯人はオズワルドなのか?
1991年 オリバー・ストーン監督
明日は11月22日。「いい夫婦の日」だが、ある人物の命日でもある。55年前、ケネディ大統領が暗殺された。本作は暗殺が陰謀だったとするギャリソン検事の捜査を描いている。
1963年のこの日、ケネディはテキサス州ダラスで銃弾に倒れた。警察はオズワルド(G・オールドマン)を逮捕するが、彼はJ・ルビーに射殺される。ギャリソン(ケビン・コスナー)はオズワルドの周辺を調べ、実業家のクレー・ショーを暗殺の共謀容疑で起訴するのだった……。
見どころは終盤の裁判だが、偽名の元軍幹部がギャリソンに情報をリークする場面も迫力満点だ。彼はペンタゴンとCIA、警察、軍需産業、ジョンソン副大統領らが暗殺に関わったと説く。ケネディの平和主義に危機感を抱いた連中がクーデターを企てたというのだ。
「陰謀論」という言葉がある。事件が起きたとき「ユダヤ人が引き起こした」とか「国家機関が黒幕だ」とする考えだ。ケネディ関連でいえば、マリリン・モンローは不倫の口封じのため肛門からの毒薬注入によって殺されたという。今の米国ではQアノンという架空の人物が、この世には悪の組織がありトランプはそいつらと戦っているのだという話を広め、多くの人が信じているらしい。ケネディ暗殺では、なぜオズワルドは殺されたのか、本当に5・6秒で3発を発射できたのか、1発の銃弾がケネディとコナリー知事を7回傷つけたのは事実か、犯人は3人ではないかなどの疑問が絡み合い、国家的な陰謀論に拡大した。