「戦争と人間 完結編」 銃撃、強姦…理不尽な日本軍の蛮行
1973年 山本薩夫監督
1928年の張作霖爆殺事件から満州事変、日中戦争を描く3部作の完結編。
37年7月、盧溝橋の武力衝突で日中戦争が勃発。日本軍は南京に攻め込み、捕虜と民間人を殺害した。そんな中、国内では伍代産業の娘・順子(吉永小百合)が反戦活動家の標耕平(山本圭)と結婚。標は召集されて入営する。
一方、順子の兄・俊介(北大路欣也)は軍需を手掛ける伍代産業の満州支社に赴任。陸軍幹部らにソ連の軍事力には勝てないと語ったため、仲間の田島とともに投獄されてしまう。厳しい拷問を受ける田島。俊介は無傷で釈放されるが、軍隊に取られ、前線に送られる。耕平は中国の小さな村で幼女を射殺しろと命じられ、俊介はノモンハンに駆り出されるのだった。
貧しい生い立ちの標とブルジョアの俊介が軍隊で辛酸をなめる。とくに悲惨なのが耕平で、上官の暴力を批判したため顔が変形するほど軍靴で殴打され、中国人捕虜の刺殺を拒否して銃床で殴られる。軍の蛮行は制裁だけではない。村への襲撃では大人も子供も容赦なく撃ち殺し、女性は衣服をはぎ取り、寄ってたかってレイプする。