本作の公開当時に論じられたことだが、ウォーレン委員会がオズワルド単独犯行説を発表したことで米国民は2世代にわたって政府の権威に背を向けるようになり、キング牧師、R・ケネディの暗殺との相乗効果でベトナム反戦運動が本格化した。陰謀論が米国民に「国家を疑え」という意識を植え付けたことになる。
それでも陰謀論は面白い。本作は陰謀好きの人にとって最高のエンターテインメント。真夏の怪談話と同じで、幽霊を信じる人ほど楽しめる。
ちなみに事件後の3年間で重要証人18人のうち16人が不審な死を遂げた。73年の映画「ダラスの熱い日」は彼らが死亡する確率は「実に10京分の1」であると解説している。
(森田健司)