元戦場カメラマン小原玲氏が語る “現場100回”と自己責任論
朝から晩まで公園でスマホを見ている大柄の中年オヤジ……。職質こそ免れたというが、時間つぶしと話しかけられた時の対策を兼ねて、「『ドクターX』を見ていました。『私、失敗しないので』の決めゼリフを繰り返し聞いていると、『撮影、失敗しないので』という妙な自信も湧いてきました(笑い)」。
フライデーを経て、米国の通信社に所属し、湾岸戦争やソマリア内戦を取材する戦場カメラマンでもあった。1992年、バーレ政権崩壊のソマリアでは宿泊する予定だった宿が襲撃を受け、すんでのところで人質になる事態を免れた。恐怖と死と隣り合わせの世界に身を置いていたからこそ、シリアで拘束され、先日、日本に帰国したジャーナリスト・安田純平さんに向けられた「自己責任論」には思うところがあったという。
「日本は今も昔も国際情勢に関するニュースが他国に比べて極端に少ない。海外の紛争地で起こっていることに関心を持たない人が多いという現状が根底にあると思います。紛争地で虐げられている人たちが一番悲しいのは、無関心。命をも失うリスクが伴う中でシリアに関心を持って悲惨な現状を伝えようとした報道ジャーナリストの存在をどうとらえるか。議論されるべきはもっと深いところだと思っています」