第91回アカデミー賞下馬評 “本命”にセクハラ発覚で大混戦
映画界最大の祭典、第91回米アカデミー賞の授賞式が日本時間の2月25日(月)と迫ってきたが、今年は例年になく大混戦になっているという。
とくに最優秀作品賞は、賞レースの前哨戦としてアカデミー賞と重複することが多いトロント国際映画祭の最高賞(観客賞)を獲得した「グリーンブック」が本命とみられてきたが、ピーター・ファレリー監督の20年前のセクハラ行為が報道され失速。
これは監督が「メリーに首ったけ」(98年)のオーディション時に、当時まだ売り出し中だった女優キャメロン・ディアスに丸出しの下半身を見せつけた事件のこと。受賞作品は映画芸術科学アカデミー会員の投票で決まるため、こうした醜聞の影響は無視できない。混迷を極めるオスカー争いについて、映画批評家の前田有一氏はこう語る。
「スキャンダルといえば、同じ作品賞候補の『ボヘミアン・ラプソディ』を完成直前で降板させられたブライアン・シンガー監督も、17歳少年に性的暴行した疑惑が同時期に報じられました。同性愛を公言しているシンガー監督を絶賛していたLGBT団体もこれには大激怒。同団体が主催する映画賞の候補から外しています。そもそも、セクハラ撲滅のMeToo運動がここまで盛んになったのは、オスカー常連の大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインを有名女優たちが告発したのがきっかけです。以来、1年以上経っても次から次へと出てくるゴシップには、アカデミー会員たちもうんざりでしょう」