小坂明子さん「世界歌謡祭で名前を呼ばれた瞬間光が…」
■歌いだしたらマイクスタンドが下がるアクシデント
本番でも思わぬアクシデントがありました。ピアノを弾いて歌いだしたら、横から長く延びているブームマイクスタンドがネジの締め方が悪くて下がってきちゃった。それで歌うのをやめてスタッフの方を呼んで直してもらい、初めからやり直しました。新人なのによくあんなことができたと思います。でも、みんなが「もう一回頑張れ」と拍手してくれてすごく落ち着くことができ、最後まで歌い切りました。
司会は坂本九さんとジュディ・オングさんでした。各賞から順番に発表があり、私の名前は呼ばれない。最後はグランプリ。落ちたか残っているかだけ。九さんに「エントリーナンバー26番、小坂明子」と呼ばれた瞬間は「やった!」ってエネルギッシュ、ポコッと光がこちらに飛び込んでくる感じ。歌謡祭に出る前から運気がグッと上がっている気がして友達に「有名になるかも」とポロッと漏らしていたけど、本当になっちゃったと思いました。
発表後は43組の演奏を担当したツーユニットのミュージシャンがお祝いの演奏をしてくれて。高水“大仏”健司さん、大村憲司さん、PONTAさんといった当時のそうそうたるメンバーがシンバルをバンバン叩いて、ベースやギターもトゥルルルルーって感じのありえないお祭り騒ぎ。九さんもお祝いの言葉を言ってくれた。終わってからは記者会見もあって、もうどさくさ。世の中が変わった瞬間でした。ホテルまでどうやって帰ったのかは覚えていません。