小坂明子さん「世界歌謡祭で名前を呼ばれた瞬間光が…」
代表曲「あなた」のヒットから45年。小坂明子さん(62)にとって、平成を経て令和の時代にも引き継がれる名曲が生まれた瞬間は劇的だった。
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「あなた」の発売は1973年12月。私はまだ高校2年生、16歳でした。父が音楽家で私が通ったのは大阪音大付属高校。将来の夢は大学を卒業して父と同じ音楽家の資格を取ることだったので、歌手になるという選択肢はゼロでした。そんな中で生まれて初めて作詞作曲したのが「あなた」。好きとか愛という言葉を使うラブソングは嫌だな、私ならこうしたいと思って初めて作った曲でした。
曲を作ったのは高1の2月でした。それがヤマハポピュラーソングコンテスト(ポプコン)京都大会で入賞し、8月に関西の決勝大会、10月に合歓の郷リゾート(三重・志摩半島)で決勝大会が行われてグランプリを獲得、11月に日本武道館の世界歌謡祭に出場することになりました。あれよあれよです。
合歓の郷でグランプリを取ったくらいから、デビューの話もポツポツあって、周りの大人がワタワタしているのがわかりました。そんな中で迎えた世界歌謡祭。宿泊した会場近くのホテルから出場者43組が全員、バスで武道館まで移動したのですが、すごいベテランばかり、リハーサルでもうまい。最年少の私は舞台裏でガクガクし、どうなっちゃうんだろうと不安でいっぱいでした。