「スウィングガールズ」何度見てもまた見たくなる音楽映画
本作は「フラガール」(2006年)と同じ少女たちのプロジェクトX。この種の映画は登場人物の死で感動させるのが常套(じょうとう)手段だが、矢口監督はそんな湿っぽい手口は使わない。女子プロレスに見られる過剰な根性論や女のイジメとも無縁。ひたすら笑わせて観客を引っ張っていく。
見どころはラストのコンクール。異色のジャズウイメンがB・グッドマンでおなじみの「シング・シング・シング」を披露。ビッグバンドの迫力に観客は総立ちだ。奏者にスポットライトが降り注ぎ、小澤は客席でタクトを振る。良江のトランペット、友子のテナー。鳴り響く手拍子。踊るあほうに見るあほう。よくぞこの名曲を選んだ。J・コルトレーンではないが「サンキュー、ガッド!」と叫びたくなる。
演奏は素人芸だが、何度見てもスイングしてしまう。何度見ても元気が出る。何度見てもまた見たくなる。こんな音楽映画はほかにない。
(森田健司)