大林監督の目「安心感を感じたとき、女の子は一番美しい」

公開日: 更新日:

自作を「個人映画」

 自作を「個人映画」と呼び、映画会社の所属監督には決してできないチャレンジングな映像表現を追求したことでも評価が高い。「サイレント時代の米映画では普通にやっていたアイデアなんだよ」と本人は謙遜するが、特撮や合成を多用したポップな色使いの映像は、いつ見ても新鮮に感じられる。40年も前の映画と知らずに「HOUSE ハウス」(77年)を見た米国のプロデューサーが、気鋭の若手監督として売り出すつもりで「OBAYASHI」を探しにやってきたエピソードもある。

 大林映画をきっかけに業界を志したと公言するクリエーターも多いし、無意識のうちに影響を受けた人もいるはずだ。「転校生」では「男女が中身だけ入れ替わる」荒唐無稽な設定を、“同じ俳優に入れ替わり後の性別を演じさせる”ことで違和感なく見せることに成功したが、この発案なかりせば、大ヒットアニメ「君の名は。」だって生まれなかったかもしれない。

 取材後監督は、お礼を言って立ち上がった私の手を握り「まだまだがんばるよ」と笑った。その言葉通りに命を振り絞って仕上げてくれた映画「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(公開予定)が、大林映画ファンにとって最後の贈り物となる。

(映画評論家・前田有一)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  5. 5

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  1. 6

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  4. 9

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  5. 10

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カブス鈴木誠也が電撃移籍秒読みか…《条件付きで了承するのでは》と関係者

  2. 2

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  3. 3

    「白鵬米」プロデュースめぐる告発文書を入手!暴行に土下座強要、金銭まで要求の一部始終

  4. 4

    薬物疑惑浮上の広末涼子は“過剰摂取”だったのか…危なっかしい言動と錯乱状態のトリガー

  5. 5

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  1. 6

    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

  2. 7

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  3. 8

    カブス鈴木誠也「夏の強さ」を育んだ『巨人の星』さながら実父の仰天スパルタ野球教育

  4. 9

    松田聖子は雑誌記事数32年間1位…誰にも負けない話題性と、揺るがぬトップの理由

  5. 10

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ