バイきんぐ・小峠英二さん いつか本場イギリスのフェスを
老舗クラブで見たモヒカンおばさんとハゲのおっさんのケンカ
ロンドンに行った目的は伝説の店に行くため。昔にピストルズやクラッシュが出ていた「ワン・ハンドレッド・クラブ」(100Club)という老舗のクラブです。パンクの歴史があるその店に行ってパンクのライブを見るのが夢だったから、行けてすごくうれしかった!
その夜はパンクがはやった当時のバンドが出てたので、客層はおじさん、おばさんばっかでした(笑い)。昔を懐かしむ雰囲気というか。
ライブ中、モヒカンでピアスのメチャクチャ太ったおばさんに、ハゲのおっさんがちょっかい出したのか、2人がモメ始めて、やがて取っ組み合いのケンカになったんですよ。
周りも「このおっさん、うっとうしい」となってきて、おばさんがおっさんを突き飛ばしたら、5、6人の男がおっさんをボコボコにし始め、フロアがグチャグチャになって。ライブで客たちがもみ合うのは今まで映像で見ていたから、「本場はスゲェな!」と。フロアで大勢がケンカしても、バンドは普通に演奏してるし、他の客も全然動揺してない。長年にわたっていつものことなんでしょうね。僕はゲラゲラ笑って見てました。昔の映像の光景そのままだった。
ボコられたおっさんがたまらなくなって逃げる時、見えたTシャツの背中にでっかく漢字で「命」って書いてあった。よくある、日本語の一文字Tシャツ。命からがら逃げる時にうまいことそんなシャツを着てたなぁ。たぶん僕らしか「いのち」と読めなかったでしょうけど。
■今は外国に行くのも難しい
その老舗のクラブでライブを見る夢は実現できたから、次の夢はイギリスのフェスだと思ったんです。フジロックにもいいバンドが来ますけど、本場だとさらにすごいし、規模も雰囲気も全然違うと思うので、計画して体験したい。
でも、今はフェスどころか、ライブハウスもやれない。コロナ騒動が終わっても、営業するのはしんどいんじゃないかという話を聞きます。
3密の最たるものじゃないですか。ホールは席を空けてライブができるかもしれないけど、僕はイスがあるライブより狭いライブハウスに行くので、営業できるようになるのか心配です。僕らの仕事は少しずつ戻ってきてる感じはあるのですが……。
フェスは野外だけど、外国に行くのも難しい状況が続くのかなぁ。死ぬまでには本場フェスの夢をかなえたいです。
(聞き手=松野大介)
▽ことうげ・えいじ 1976年6月、福岡県出身。96年に西村瑞樹とお笑いコンビ・バイきんぐ結成。2012年「キングオブコント」に優勝し、大ブレーク。