ぺこぱで話題“ノリツッコまない”漫才の元祖はダウンタウン
吉本興業のお笑い芸人養成所「NSC」でお笑い講師歴30年を誇る、漫才作家の本多正識氏が舞台袖で見てきたお笑い界の巨人たちの秘密を解き明かす!
「M―1グランプリ2019」でぺこぱが“ノリツッコまない”漫才で、ボケを否定して(ツッコんで)笑いを起こす従来の漫才の方程式をひっくり返したと話題になりました。松陰寺君の「ツッコミ」は非常に難しい。高度なテクニックというよりも、キャラ設定、セリフの言葉選び、言い回し、スピード、視線を送る位置、体や指先の角度など、全てがフィットしないと違和感の方が強くなって、ツッコミが浮いてしまい、爆笑につながらない。あのパターンは思いついたとしてもなかなか実践できるものではありません。
あの「ツッコまないツッコミ」の先駆者は実はダウンタウンだったと私は思っています。1980年代初頭、日本を席巻した“漫才ブーム”は落ち着いたものの、やすし・きよし、紳助・竜介、阪神・巨人らの出演で超満員だった「うめだ花月劇場」でNSC1期生で師匠を持たない“ノーブランド”コンビ、ダウンタウンの漫才を初めて生で見た時のことでした。