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立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

トランプ敗北を勝利宣言と報じたメディア…垂れ流しは広報

公開日: 更新日:

 ところが、どうも日本ではこれを「事実上の勝利宣言」と報じたらしい。直後に出演した毎日放送の報道番組「ミント!」で、「トランプさんの勝利宣言をどう見ましたか?」と問われたので、「これは勝利宣言ではない。トランプ陣営がこれ以上票を伸ばしても必要な270人の選挙人の獲得に至らないことを認めたもの」と伝えた。イヤホン越しにスタジオ内のどよめきが聞こえたことが私には意外だった。

 その後、「あんなこと言って大丈夫か?」とのメールがいくつか届いた。それらによるとNHKが同時通訳で会見を「勝利宣言」のように報じたとのことだった。その報道内容を確認したわけではないが、そうだとすれば、それはフェイクニュースだ。説明しよう。この会見の段階で焦点の1つは、ペンシルベニア州の票の行方だった。ここでトランプ大統領が優位だったものが徐々にバイデン氏の追い上げにあう。それが、集計に不正があるので集計を止めろという大統領の発言になる。しかし、州務長官が、「州民の票は一票残らず反映させる」と主張。政治的な圧力に屈しない姿勢を示した。そうなると会見して裁判に訴えると声高に叫ぶ必要がある。それがこの会見だった。

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