渡部建“汗だく100分”会見の刃は安倍・菅コンビにこそ振るえ
吉川元農相の「鶏卵疑惑」にどこも突っ込まず
メディアもメディアだ。吉川貴盛元農相の「鶏卵疑惑」について安倍氏や菅首相に質した社はゼロ。緊張感が欠けていた証拠に、菅首相は学術会議問題の影響を問われ、ニヤニヤしながら「かなり大きくなるんじゃないかと思った」と言い放った。終始、涼しげな顔は、多目的トイレでの不貞行為を散々なじられ、汗をダラダラ流しながら釈明に追われた、お笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建(48)とは対照的だった。
仕事復帰のタイミングや謝罪のあり方を追及した芸能リポーターたちの“ド詰め”は、視聴者が渡部に同情を覚えるほどの徹底ぶり。一芸人が不倫や復帰時期について100分もツルシ上げられているのに、前首相は疑惑に口を閉ざし、現首相は一方的な「メッセージ」が常態化。どう考えても異常な光景だ。
「首相が事前に用意された想定問答を読みあげるだけという慣習を破れないのは、メディアにも責任があるし、政権となれ合っているようにも見えます。菅政権にも『桜』や『学術会議』『Go To キャンペーン』など、突っ込むべき課題が山ほどある。こうした問題こそ、政権側と記者が100分でも200分でも丁々発止のやりとりをしなければなりません。政権の抱える問題を徹底追及しないのに、不倫問題をここぞとばかりに突っ込んでいる姿を見せられたら、メディア不信は高まるばかりです」(法大名誉教授の須藤春夫氏=メディア論)
政権とメディアのなれ合いこそ、菅首相の言う「悪しき慣習・前例」である。少しは「渡部会見」で見せた刃を振るったらどうか。