<18>末井昭と出会う「すごい編集者がいるな」と気に入った
長いつきあいだね、スエーとはね(末井昭、編集者・作家)。いつも夜10時に待ち合わせて、新宿歌舞伎町を撮りに行ってた頃の写真があるよ。やっぱりね、性風俗が元気なときは時代が元気なんだよ。
最初に末井がオレのところに来たのはね、文章を頼みにきたんだよ。もう40年ぐらい前かなぁ(1976年)。わざわざ、三ノ輪(台東区)まで会いに来てくれたんだよね。なんで気に入ったかというと、その日は国鉄も私鉄もストライキで止まっていて、都電(荒川線)しか動いていない。そういう日だったけど三ノ輪まで都電を乗り継いで来てくれた。お、すごいなって。すごい編集者がいるなって。連載のエッセイの原稿を書いてくれって、文章を依頼してきたんだ。オレの名文があるよ、ちゃんと。名作なんだよ(笑)。
末井は、2ページの予定なのに、渡した原稿が何枚もあったから驚いてたね。そのときに一緒に渡した写真が「地球がタバコを吸っている」っていうんだ。陽子と結婚して住んでいた三ノ輪のフラワーマンションの屋上から撮った写真。銭湯の煙突から煙が出てる。その頃は銭湯がいっぱいあったんだ、三ノ輪のあたり、煙突が多くてね。(末井は「荒木さんの生活、エロ、文学、アートすべてが凝縮されている濃い文章」と語っている)