<18>末井昭と出会う「すごい編集者がいるな」と気に入った
オレはジーパンにドテラを着て、下駄を履いてたらしい。サングラスにヒゲで帽子かぶって。当時でいうと、アングラってやつだよね。末井は、オレがアングラ雑誌(『地下演劇』など)や『ガロ』とかに文章を書いたり、写真が載ってるのを見たと言ってね。オレも、末井がいろいろとヘンなことやってるヤツって知ってたからさ。
その頃はさ、条件でがんじがらめになっていないって珍しいじゃない。自分が雑誌の編集長で、他に社員いなくて一人でやってるって(笑)。たとえば、オレは電通ではできないじゃない。でも末井はやっちゃうというね。つくっている雑誌が、暴力というか不良性を持っていて、そこが気に入ったの。それと、次に会ったときに、写真集(『めばえ』)を名刺がわりに持ってきたんだ。自分が編集した写真集で、1着のセーラー服を、いろんな女たちに着せて撮ってるの。これがいいわけ。ストの日に来てくれたのも驚いたけど、何がいいっていうと、そういうセンスがオレ好きだなって。いいなあと思って、コイツはやるぞ!って思ったね。惚れたのよ! アヴァンギャルド末井に。