噺家が節分の豆まきで「鬼は外」と言わない理由は…
緊急事態宣言の解除が延期されるらしいなんて噂を耳にしながら、なけなしの仕事がまたポツリポツリとキャンセルになり、さらに我が落語協会からは数人のコロナ感染者が出て寄席が臨時休業と、もうコロナにはお手上げ状態といったところ。多分、今年に入ってからの落語界の明るい出来事といえば、ここ2週にわたって春風亭一朝師匠のインタビューがこの日刊ゲンダイに掲載されたことじゃないですかね。一朝師匠にはたくさん噺を教わってる恩があるのでこのスペースを使ってヨイショさせていただきます。
ところで来週は節分ですねぇ。そして節分といえば豆まき。大きな神社仏閣では毎年著名人を招いて豆まきをやってるのをニュースで見ますよね。実は寄席でも毎年出演者が高座から豆だけでなく手拭いや寄席の招待券までもばらまく大サービスしてるんですけどまあ今年は自粛でしょうね。
そうそう噺家の豆まきはまくときの掛け声が独特で通常は「鬼は外、福はうち」ですが、噺家の場合は「福はうち」だけで「鬼は外」は言わないんですよ。その昔うちの師匠に訳を聞いたら「鬼もそこに居たらお客なんだから追い出さない」のだそうです。居るのはいいけどその鬼は入場料払ってるのかしら。そもそもお客でも酔っぱらって騒いだりしたら容赦なく追い出すことがあるのに意外と鬼には寛容な落語界です。