矢野・兵動に「なんでもええから喋って」とお節介して31年
ハンチング帽を目深にかぶりメガネを光らせながら、緻密な計算のもと、一切の無駄を省いたしゃべりで笑いをつくる“職人”兵動大樹と、明るくおおらかで、ツッコミとも相づちとも取れないようなフリーハンドな立ち位置でボケを絶妙に引き立てたり、慌てさせたりする矢野勝也の漫才コンビ「矢野・兵動」。
NSCの講師になって初めての生徒で、ナインティナイン、ほっしゃん。、宮川大輔、へびいちご、新喜劇の川畑泰史らと同期の大阪9期生。よく私に「多くの有名芸人、売れっ子芸人を育てた」という形容詞をつけていただくことがありますが、育てるなんておこがましく、みんなが一生懸命に頑張った結果だと思っています。ただ矢野・兵動だけは、本人たち公認の「生みの親」です。あくまで「生みの親」なだけで、大きく育ったのは彼らの努力です。
今の生徒たちはすでにコンビを組んで入学してくる子たちが多いのですが、当時はバラバラで入学してきて、養成所で相方を探すのが主流でした。「ネタ見せ」の授業をしてもピンネタが多く、ネタができていない生徒にはとにかく人前でしゃべらせるために自己紹介やギャグ、一発芸、何でもありでやらせていました。