上野・鈴本7代目が胸に刻む先代、先々代の言葉「顔付けは別だよ」
「おじいちゃん子だった」という敦さんは、祖父の鈴木肇さん(5代目)の口癖「顔付けとプライベートは分けなさい」を胸に刻む。
「祖父は芸人さんを連れまわして毎晩飲みに行っていましたけど、顔付けは別だよって。父にもそう言われました」
「顔付け」というのは席亭のもっとも重要な仕事で、寄席の番組を組むことを指す。
「顔付けは生命線」という敦さんは「3~4年前から顔付けを担当しています。落語ファンの気持ちになってどんな番組がいいのか考えつつ、寄席として新しい芸人をどう売り出していくのかも思案する。毎回毎回、これでいいのかと悶々としていますけどね」と苦心を明かす。
仕事の一方、歌舞伎や演劇、落語会にも足を運び、寄席サービスのヒントを学ぶ。
「落語会でも、チケットは自分で取って行きます。そうしないとお客さまの気持ちが分からないので。お客さまの会話がサービスのヒントになったりする。プロ野球のファンサービスもすごいと思います。細かいけどお客さまに喜ばれることをやっていくことが、寄席としても必要だなと考えますね」と、常に頭にあるのは、よりよい工夫のための模索だ。