<57>何度も復縁を申し込んだ前妻との間をつないだ愛犬イブ
野崎幸助さんと愛犬のイブは16年間も一緒に暮らしてきた。その死と向き合えば、家族の一員を失った時のようなつらさを感じることになるのだろう。
イブは前妻のCさんがドン・ファンにおねだりして購入した犬だ。だが、離婚の際にCさんがイブを連れていこうとすると、ドン・ファンが絶対に許さなかったという経緯がある。
これは私の想像であるが、Cさんとの復縁を何度も申し込んだドン・ファンにとって、イブは自分とCさんとをつないでくれている存在ではなかったのだろうか。それが切れてしまうことにドン・ファンは切なさを感じているような気がした。
本来は5月10日に全てを終了する予定だったが、少しぐらいのわがままは聞いてあげた方がいい。私は配達から帰ってきたマコやんと一緒にホームセンターに出掛けた。イブの体から異臭がしないように防腐剤を購入しようと考えたのだ。
■犯人呼ばわりされた家政婦は激怒
「大下さんがイブを殺したんやないか?」
自宅に帰ってくると、ドン・ファンが冗談めかして家政婦の大下さんに言った。私には冗談としか聞こえなかったが、これに彼女が激怒したのである。