著者のコラム一覧
立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」はじめ、「コロナの時代を生きるためのファクトチェック」「トランプ王国の素顔」「ファクトチェックとは何か」(共著)「NHK 日本的メディアの内幕」など著書多数。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

13年半続いたMBSの名物情報番組が終了…番組は社会の映し鏡でしかない

公開日: 更新日:

 番組は社会の映し鏡でしかない。番組が社会をつくるのではなく、社会が番組をつくる側面は大きい。これは放送局を擁護するものではなく、ビジネスである以上、そうした流れにあらがえないという現実を直視する必要があるということだろう。

 受信料で成り立っているメディアでも同じだ。NHK時代、後輩の結婚式で失態を演じたことがある。同席した年配の会社経営者に、「なんでNHKは民放の真似のような番組ばかりやるんだ。もっと硬派なドキュメンタリーをゴールデンにやるべきじゃないか」と指摘され、酔った勢いで「それは視聴者の問題でしょう。視聴者が求めないことをNHKもやれませんよ」と言ってしまった。その礼を失したもの言いに、先方が激怒したのは言うまでもない。

 私の言い方に問題があったことは認めるが、正直に言うと、考え方は変わっていない。テレビもラジオも、民放、NHKを問わず人々が求めていないことを突き進めるということはできない。全てのメディアで生き残りを懸けた模索が続いているからだ。だからこそ、逆にMBSラジオの判断は深刻なのだとも言える。何ができるのかメディア人として真剣に考えないといけない。そのMBSラジオで、私の「ファクトチェックラジオ」が深夜枠で始まった。ニュースやネットで流れる情報の検証をラジオで行う恐らく初の試みだろう。不定期の放送だが、リスナーからの支持を得られればレギュラー化もあり得る。

 もちろん、そうはならなくても老舗デパートのように惜しまれる言葉が聞かれることはないだろうが。

※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。
 tateiwa@infact.press

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  4. 4

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  5. 5

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  1. 6

    フジ反町理氏ハラスメントが永田町に飛び火!取締役退任も政治家の事務所回るツラの皮と魂胆

  2. 7

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  3. 8

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  4. 9

    やなせたかしさん遺産を巡るナゾと驚きの金銭感覚…今田美桜主演のNHK朝ドラ「あんぱん」で注目

  5. 10

    今田美桜「あんぱん」に潜む危険な兆候…「花咲舞が黙ってない」の苦い教訓は生かされるか?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が