映画評論家・前田有一「日本映画はなぜ韓国映画に勝てないのか」
そりゃそうだ。これまで米国以外の人々は、映画館で予算100億円のハリウッド超大作と、チープな自国の映画を同料金で見比べ、ある種の我慢を感じ続けていたのだから。そのフラストレーションを、史上初めて解消してくれたのがNetflixということだ。
自社コンテンツを大量保有するワーナーやディズニーといったメジャーが旧来の“輸出型”のビジネスにこだわり、配信時代に出遅れたのは皮肉だが、現在では彼らもローカライズの重要性に気付き推進している。例えばディズニーは動画配信サービス「Disney+」の作品を、これまでほぼ米国内で制作していたが、今や新作企画の24%が海外制作だという。
こうした中、現地化に出遅れたのが日本だ。原因は、日本は市場規模が大きく、国内だけでそこそこ食っていけたのがまず一点。さらに、海外進出の動機が薄い放送局と配給会社が圧倒的に強い産業構造になっていて、そこから受注する制作会社側も当然、国内向けに特化したコンテンツしか作れなくなっている点だ。
現在はNetflixによる現地化バブルが日本国内にも吹き荒れ、慢性的に不足気味な制作スタッフなど、通常以上のギャラで依頼を受けることも多いというが、Netflixは先日、今後はコンテンツの内製化を進めると発表したばかり。