ジーナ・ロロブリジーダは私とって世界一の美女だった
「イタリアの女優なのに『夜ごとの美女』と、やはりジェラール・フィリップと共演した『花咲ける騎士道』の2本のフランス映画で世界的スターになったのはそのため」(川本)だった。
私は『ソロモンとシバの女王』の妖艶な姿を記憶しているつもりだったが、1959年の上映というから、そのころ私はまだ14歳。後で名画座ででも観たのだろうか。
『キネマ旬報』の1957年12月下旬号には、黒澤明がロロと会ったことを書いている。
同年のロンドン映画祭に黒澤は和服で参加した。
「ロロは、僕の草履がよほど珍しいらしく、眼を丸くして見ている。片一方をぬいで見せてやる」
そのころ黒澤は47歳、ロロは17歳下だった。
逢坂剛と川本の対話『わが恋せし女優たち』(七つ森書館)にはこんなやりとりがある。
「イタリア女優のほうが、日本で人気があった気がする。ジーナ・ロロブリジーダを筆頭に」
「かわいいグラマーで、日本人好みですよね」