西川のりおが松本人志問題にモノ申す!「今の芸能界は自民党の派閥によう似てますわ」
西川のりお(漫才師)
週刊文春による松本人志の性加害報道に芸人の多くがコメントを避ける中、口火を切ったのが、この人だ。先月出演した関西のラジオ番組で、当初「事実は一切ない」と否定した吉本興業の対応を「初動ミス」とバッサリ。返す刀で「社内調査」を求め、松本にも「シロならキッチリ言えるはず」と会見を促すなど舌鋒鋭くしゃべり倒し、話題を集めた。芸歴50年超の大御所芸人が、芸能界と政界の「今」をぶった斬る。
◇ ◇ ◇
──師匠の指摘通り、吉本も「事実確認を進める」と態度を変えました。
いいじゃないですか、遅くても。非常にデリケートな問題なんで。相手を思いやる心は必要です。
──しかし、松本さん本人は態度を変えません。
僕ら芸人はマスコミで生きてます。一種の公人ですから、公の場で答える義務があるんちゃうか、というのが正直な気持ち。都合のいい時だけのマスコミじゃない。不都合になったらダンマリはダメ。大阪・関西万博のアンバサダーにもなり、あれだけの公の仕事を引き受けて。急に裁判しようって、モノの順番が違います。
──大阪府の吉村知事も「アンバサダー活動も休止だと思う」と言いつつ、「決めるのは万博協会」と判断を避けました。
何で「ご辞退いただく」と言えないの。有権者に選ばれた立場で何を遠慮してんねん。
──裁判は2年以上かかると予想されます。
その間、ずっと疑惑のままでいいのかなあ。真相はどうあれ、疑惑は疑惑です。世間もその印象を引きずります。松本君が勝つにせよ、負けるにせよ、復帰したら「もう、アレは忘れて」って、できますか。他の芸人にもプラスになりません。この問題、どっちの方を向いてもアカンようになる。しゃべれなくなるんです。極端に言うと「この前、女の子とどうこう」いう話をしたらダメになりますよ。不自然な会話になりません? 何とも言えない空気になって、芸人には厳しい。彼もお客さんを笑わす商売として、どう思ってるんやろ。
■テレビには永遠に出られるわけやない
──テレビからは撤退しても、劇場には戻ってくるという可能性は?
う~ん、どうでしょう。僕の勘では戻らない気がします。もともと、テレビの文化で売れた人ですから。僕らみたいな劇場から出た芸人は劇場に帰りますけど。劇場とテレビの漫才は別物です。スタジオに用意されたお客さんと劇場の客層はまるで違う。言葉のニュアンスで笑わすネタは劇場ではウケません。やっぱり歌舞伎役者なり、落語家なり、戻れる場所がある人は腰が据わっています。戻る場所は大事。何でか言うたら、テレビに永遠はないんです。永遠に出てる人はいない。あれだけ視聴率を稼いだ萩本欽一さんも久米宏さんも永遠には出てないですから。テレビはやっぱり、その時その時。その時が長いか短いかだけです。
──いわゆる“アテンド役”が生まれる構造について「芸人の営業の仕方が変わってきている」という師匠の指摘は腑に落ちました。
最近よく聞くのが「誰々にハマってる」って言葉です。「気に入られているから、あの番組に呼んでもらえる」とかね。確かに「なんでテレビに出てるの?」ってヤツ、おるでしょう。するとMCが「こいつ、エエやつやねん」って、わざわざ公の電波で言う。そら知らんがな。アンタらの関係を押し付けるなよ。「オモロかったら売れる」が、魅力あるホンマの芸人の世界だったんですけど、偉い人に気に入られようと損得だけ考えて。政治家やサラリーマンの世界と同じになっています。自民党派閥の裏金事件と構図はよく似ているんですよ。100%とは言わないですけど、8、9割は一緒です。パーティー券をせっせと売ったのは、そのカネを派閥の親分に上納しているのと同じことですから。
──親分に気に入られればポストを得られる。
芸人も「○○ファミリー」の親分にヨイショばっかして、見返りを期待する。僕がこの世界に入った50~60年前にもあった構造ですけど、一時、消えたんです。80年代初頭の漫才ブームで売れた頃は皆、「無派閥」だらけ。それが政界と一緒で今の方が昔に近い。後輩諸氏も「世話になった」「憧れてます」とコメントしてますけど、今はそんな話はしてません。論点がズレています。内向きな守るような発言なら、しない方がいい。