西川のりおが松本人志問題にモノ申す!「今の芸能界は自民党の派閥によう似てますわ」
「笑いに人生をかけても表に出したらアカン」
──松本さんの活動休止が長期化すれば、審査を務める「M-1グランプリ」や「キングオブコント」の開催にも影響を及ぼしそうです。
僕はもともと、賞レースには反対の立場です。お笑いって勝ち負けやないと思う。格闘技やないねんから。人生をかけるにしても、芸人は表に出したらアカン。見てる方を緊張させてどうすんねん。肩こりますやん。
──真剣にやっているのに何を笑ってんだと言われかねない雰囲気です。
芸人もアスリートみたいに力んでますよね。手をパーにしてやらな、笑えません。お笑いはもっとおおらかでいい。損得や勝敗を超越しているのが、この世界の良さ。せめてM-1も4年に1回にせな。毎年毎年、面白い漫才師なんて出てきませんよ。昨年のエントリー数は8540組ですか。世の中にそんなに面白いヤツらがいてます? 芸人って、ある程度は熟成されて出てくるもんでね、「味」が大事。同じネタでも言い回しや声の出し方、アイツがしゃべったら違うなあというのが味です。そこに技を付け、個性と芸がマッチしてくれば面白くなる。唯一無二の存在で同じ人がおったらプロじゃない。今は賞レースで勝てそうなネタを覚え、合格を目指す芸人が増えています。受験勉強じゃあるまいし。
──けど、吉本をはじめ、今やどの事務所もお笑い学校を持ち、スクールビジネスが花盛りです。
学校に入った以上、生徒さんにしたら芸人になりたがる。その「落としどころ」が賞レースへの参加なんです。
──エントリーするだけで、芸人気分に浸れるのかもしれません。
気持ち的にはね。けど、好きなんとモノになるのは別です。それこそ野球選手と同じ。劇場で1週間の出番のうち半分を笑わせられるヤツはおらんのとちゃう。僕らもウケたりウケなかったりで、会心の当たりは2~3割がやっと。下手したら今週はダメというのもある。永久に完成のない世界で、サグラダ・ファミリアみたいなもんですわ。だからオモロイねんけど、40歳を越えて子供もいて、出番がもらえんようなら、現実を見なあきません。続けるのも勇気ですけど、やめるのも勇気。やめるべきですよ、大阪万博はマジで!
──吉本もパビリオン出展など社を挙げて万博に関わってません?
それをこの前、吉本の人間に聞いたら「僕も知らないんですけど」言うて。「誰が知ってんねん!」って話になりました。
■「下見の のりお」言うて万博会場を視察
──ホンマでっか?
会場の夢洲とか「下見ののりお」言うて、車で何度も視察しています。いざ始まったら、お客さん、移動するの大変ですよ。大阪湾の海の先やないですか。能登半島地震があり、南海トラフもハッキリ来る可能性が指摘されています。危機管理上も、あんな高リスクの場所でやるべきやない。
──それはホンマですね。
万博後のIR計画についても、僕はラスベガスの歴史を勉強しました。マカオやシンガポールのカジノに行った経験も含め、YouTubeチャンネルで詳しくしゃべっています。今、海外客が日本を訪れる理由は安い・おいしい・清潔・安全。バックパッカーも多く、市バスで京都観光してますよ。カジノ目当てに富裕層が来てくれるかは大いに疑問です。
──それでも日本維新の会は大阪で絶大な支持を受けていませんか。
大阪人には俗に言う「けったくそ悪い」の精神がある。「自民党やから通る」いう考えが大嫌い。事実、通りません。維新はその反骨心を利用しているんですよ。
──馬場代表は昨年、「第2自民党でもいい」と言い切りました。
補完勢力ですよね。このまま自民党みたいになっていけば、大阪の人間にソッポ向かれまっせ。
──師匠の発言には常に批判精神が宿っています。
批判って好きか嫌いかじゃない。物事に関心がないとできません。無関心が一番ダメです。まあ、僕は関心を持ち過ぎかも分からんね。今年で73歳。より正直に生きたい。それで好かれるだの、嫌われるだのは、やむなしなんでね。
(聞き手=今泉恵孝/日刊ゲンダイ)
▽西川のりお(にしかわ・のりお) 1951年生まれ。大阪府出身。高校卒業前に西川きよしに弟子入り。75年に上方よしおとコンビを結成。80年代前半の漫才ブームの一翼を担い、「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)など多くのレギュラー番組に出演。YouTubeチャンネル「のりおくんチャンネル~俺にも言わせろ!~」(毎週木曜19時更新予定)で政治や経済などの持論を展開中。