『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』独裁者に心酔し国民を戦争と虐殺に駆り立てた男の末路
ゲッベルスはよくぞここまでと呆れるほど微細な演出を打ち出し、国民を烏合の衆に洗脳していく。現代の広告業界はゲッベルスの手法を参考にしているといわれる。劇中の「同じことを何度も語りかけろ」という方法は「嘘も100回言えば真実になる」と同じで大衆をその気にさせるだろうし、政治家のアジ演説に共通するものがある。
それにしても、劇中に登場する人間どもの醜いことよ。
「部下はよくやっていました。何百回も発砲し泣き叫ぶユダヤ人を始末しています」
「幼い子供には銃弾を使わず圧死させています」
「1日数千人でも今年中に50万人しか殺せません」
「精神科病院のガス室を使ってみたところ、かなり有効でした」
ナチスの幹部たちはこんな会話を交わし、「世界中のユダヤ人がドイツに戦争を仕かけている」とあたかも自分たちが被害者であるかのように装うのだ。その結果、国民が「ユダヤ憎し」でこぶしを振り上げたことは説明の必要もあるまい。