『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』独裁者に心酔し国民を戦争と虐殺に駆り立てた男の末路
プライドを傷つけられたマグダはヒトラーに相談。ゲッベルスはヒトラーから恫喝されて泣く泣くリダと決別し、この一件によってヒトラーから冷遇される。焦ったゲッベルスは手柄を立てようと、ユダヤ人によるドイツ外交官襲撃事件を利用。国民を扇動して憎しみをかき立て、ユダヤ人迫害事件を起こさせる。
その後もゲッベルスは反ユダヤ感情をあおる映画を作って国民の憎悪を喚起。ヒトラーは満足し、ソ連に侵攻する計画を彼に打ち明ける。ゲッベルスはヒトラーの対ソ戦の声明をラジオで代読して戦意高揚をはかるが、ドイツ軍はスターリングラード攻防戦で敗れ、追い詰められていくのだった……。
この作品は1938~45年までの7年間の歴史的出来事のニュース映像を織り交ぜて、ユダヤ人迫害、強制収容所の実態、対ソ戦、ベルリン空爆などを再現していく。128分間をじっくり見ればナチスがいかに非人道的な罪を犯したのか、またゲッベルスがどんな巧妙な手口を使ってドイツ国民をそそのかし戦争気分に駆り立てたのかが分かる。冒頭に書いたトランプや立花孝志の原型がゲッベルスの中に存在しているのだ。ちなみに中盤のユダヤ教の聖堂が焼け落ちる場面は38年11月の「水晶の夜事件(クリスタルナハト)」である。