水谷良重 尾上辰之助との不倫と飛び降り騒動
<1984年8月>
新派のベテラン女優として活躍する2代目水谷八重子(74)。まだ2代目を襲名する前、良重と名乗っていた84年に、交通事故の後、自宅から飛び降りるという事件があった。さらにこの事件をきっかけに彼女と人気歌舞伎俳優の不倫も発覚して、当時の芸能マスコミは騒然とした。
8月3日午後3時過ぎ、東京都文京区春日の路上で、フラフラと走ってきた乗用車が停車中の道路工事の作業車にぶつかった。運転する女性は引き返し、もと来た方向の近所の高級マンションに入っていく。道路工事の作業員が警察に通報する。
警察はすぐ女の身元を突き止めた。女優の水谷良重だった。警官はマンションの2階にある水谷の部屋を事情聴取に訪ねた。水谷は部屋に引きこもってドアを開けない。警官が「部屋から出なさい」と言うと、中からは「出ない」という声……。押し問答が延々と続く。水谷はそのうちに裏側の窓から3メートル下の中庭へと飛び降り、駆けつけた警察官が取り押さえる。
何とも不可解な行動であった。すぐマスコミには薬物を使用しているのではというウワサが飛び交った。だが、水谷は警察の取り調べに対して、朝まで起きていて、寝る前に常用の精神安定剤とシャンパンを飲んだだけと語り、事実、それ以外の薬物反応は出なかった。