ヒロインに抜擢された元祖ニューハーフ松原留美子
テレビにも引っ張りだこになり、松原の形容としてニューハーフという言葉が頻繁に使われるようになった。ただ、現在の使い方とはちょっと違うかもしれない。女性ホルモンを摂取したり、豊胸手術をしてオッパイを大きくする。タマを取ってしまう。サオも取って完全に性転換する……。ニューハーフにはさまざまな段階があるが、松原の場合は一切、体をいじっていなかった。今の言い方なら「女装家」のほうが近いかもしれない。
札幌で生まれた松原は物心がついた時から、自分は女の子なんだと思っていたという。遊ぶ相手は女の子ばかり。男の子が使うような言葉は絶対口にしなかった。
高校を卒業すると地元でサラリーマンになったが、2年で退職し上京。六本木のゲイバーに入った。しかし、ここも違うと思い、間もなく銀座のクラブに移り、普通のホステスとして働きだしたが、男だとバレることはなかった。体をいじるまでもなく、根っからの女性だったのである。
その後、歌手デビュー。シングル2枚、アルバム1枚を出したが、ブームはすぐに去り、1年後にはテレビの画面から姿を消した。