大女優ゆえ反発も 左時枝さんが語る姉・幸子さんの“遺言”
「武士の一分」「母べえ」などの映画や、NHKの大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」など多くの作品で活躍してきた左時枝さん(69)。名だたる俳優との出会いがあったが、もっとも影響を受け、尊敬するのは、やはり映画スターだった姉の故・左幸子さん(享年71)だ。
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私を女優へ導いたのは姉でした。小学校6年生の冬、東京ですでに大女優として活躍していた姉に、「映画に出られるから、とにかくいらっしゃい」と言われ、学校を休んで故郷富山から上京したんです。映画というのは山本薩夫監督の「荷車の歌」で、姉はヒロインの娘役。監督はその少女時代を演じる子供を探していたんです。それがデビュー作になりました。
当時は映画に出られることより、東京に行って姉たちに会えることのほうがうれしくて。私は8人きょうだいの末っ子。当時、私と古美術商だった父だけが富山で暮らし、兄姉7人はみな東京へ出ていたんです。母も兄と姉の面倒を見るために東京ですから、みんなで姉(幸子)が買った東京・練馬の一軒家で暮らし、姉の活動に協力していたんです。きょうだいたちはファンレターの返事を書いたり、料理をしたり、運転手をしたり。