ピエール瀧容疑者への“処方箋”薬物依存治療の専門家が語る
覚醒剤とコカインの違いはあるのだろうか。
「覚醒剤は化学合成物、コカインはコカの葉が原料ですが、共に多幸感があり、目の焦点が合わなくなり同じ動作を繰り返す(常同運動)、幻覚や幻聴などの精神症状が出始めます。アッパー系で、過覚醒、不眠、喉が渇き、汗を大量にかく人もいる。コカインは値段も高いし、持続作用時間も短いですが、選択は体質に合うか合わないかの違いです。チューハイにたとえると、覚醒剤はアルコール度数の高いストロング系、コカインは低アルコールで果汁の入ったほろ酔い系と思っていただいたらわかりやすいと思います」
今後はどうすれば回復していけるのか。
「入手経路を断ち、薬を使わない生活を続けている仲間と交わることが重要です。仲間がいない、助けが求められない孤立感は薬物再使用の引き金になりますから、コミュニティーから排除せず、共に生活しながら社会の中で回復していくことが重要。そして、元プロ野球選手の清原和博さんのように回復の過程をオープンにすることで同じ境遇にある人に勇気や希望を与え、依存症に対する偏見を払拭していくことができるのも有名人だからこそできる役割。ですから、ぜひ経験を語っていただきたいですね」
(取材・文=岩渕景子/日刊ゲンダイ)