【うつ病】持つべきは趣味の仲間と仕事先
10余年間、うつ病のため老人が病床に伏すような幽閉状態になっていた越川正則さん(仮名、62歳)。光明が差し始めたのは、昨年の年明けごろからである。
その4年前、川への投身自殺を決意した越川さんは、その直前に偶然目にした釣り仲間や登山仲間と一緒のスナップ写真に涙し、自殺を思いとどまった。
そんな仲間からは、時折、安否を気遣う電話がかかってきていたが、いつも生返事で電話を切っていた。
「しかし、心の底では『もう一度、仲間たちと釣りや、山に登ってみたい』と思っていたのです」
そのうち、越川さんは友人からかかってくる電話を取り、ポツリポツリと昔話をするようになる。そして昨年の年明け、運動靴を履いて外に出てみた。さわやかな青空で、少し気分がいい。冷たい風を浴びながら、近所の公園まで1時間ほど散歩をした。
やがて、午前中の散歩が日課になった。体の調子がよさそうな日はゆっくり走ったり、ジョギングをしてみた。これを1年間続けたのである。