【うつ病】持つべきは趣味の仲間と仕事先
学生時代から登山を趣味にしていただけに、体力はある。体調の回復も早かった。
数年間、解約していた新聞購読も再契約した。毎朝、ひげも剃るようになり、部屋に散らかし放題だった下着を洗濯機に入れ、掃除機も手に持つようになった。
■電話が外に出る勇気をくれた
さらに、越川さんが「うつ病から解放された」と確信を得たのは、今年の春先にかかってきた一本の電話だったという。
40代で人材派遣会社を起こしたとき、真っ先に顧客になってくれた企業があった。その当時の担当者からだった。
「ご無沙汰しております。また本社に戻ってきましたので、越川さんに相談したいことがあります。来週あたりお時間取れますか?」
いつも霧がかかっているような重い頭の中に、その声がまるで霧を裂くようにスーッと入ってきたという。
面会の約束をした翌週の月曜日、越川さんは10年ぶりに白いワイシャツを着てネクタイを締めた。小脇に新聞を抱え、軽い足取りで駅に向かった。