著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

【クレアチニン】供給は筋肉量、排泄は腎機能で決まる

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 健診で義務付けられている腎臓関係の項目は、検尿による「尿糖」と「尿タンパク」の2項目だけ。しかし多くの職場が「クレアチニン」を加えています。糸球体腎炎を含む慢性腎臓病(CKD)のスクリーニングになる項目です。

 クレアチニンは、クレアチンの最終代謝産物です。この2つ、「チ」の字の後に「ニ」の字が付くかどうかの違いですから、よほど意識しないと同じに見えてしまいます。クレアチンのほうは、筋肉のエネルギー源の一種で、アミノ酸から合成され、骨格筋に蓄えられています。そして運動で消費されると、老廃物であるクレアチニンになって血液中に溶け込み、腎臓で濾されて尿と一緒に排泄されるのです。

 健診で計測されるのは血中のクレアチニン濃度です。これはクレアチニンの供給量と排泄量で変化します。供給は筋肉量によって決まり、排泄は腎機能で決まります。

 筋肉量は加齢によって下がってきますが、それ以上に腎機能が弱ってくると、差し引きで血中クレアチニン濃度が上がってきます。それによって、いまの腎機能の状態が、おおよそ推定できるというわけです。

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