【急性腎障害】高死亡率…倦怠感、尿量減少、体重減は注意
汗を大量にかいて脱水と血圧低下が起きやすいこの時季、急性腎障害(AKI)に注意したい。AKIとは「数時間から数日の間に腎機能が急激に低下する状態」のことで、多臓器不全から発症1カ月以内に亡くなったり、繰り返し発症することで慢性腎臓病(CKD)に移行し、人工透析が必要となるケースもある。「弘邦医院」(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。
「AKIは入院患者に多く、死亡率が高い。手術の出血などで血圧変動しやすく、血流が滞って腎臓が慢性的に低酸素状態に陥るからです。しかも、入院患者さんはわずかな体調変化で命に関わります。入院以外のAKIはそれよりも死亡率は高くないものの、注意が必要です」
腎臓の主な働きは血液をろ過して尿を作ること。腎機能が低下すると尿から老廃物を排泄できなくなるだけでなく、体内の水分量や塩分量などを調節できなくなる。その結果、脱水や血圧低下が進み、尿量減少、食欲低下、全身倦怠感などの症状が表れる。AKIはそれが急激に起きた状態だ。
かつては急性腎不全と呼ばれていたが、AKIはそれよりも症状が軽く、早期なものを含む。急性腎不全の要件を満たさなくても放っておくとその後の経過が悪く、早期治療のメリットが確認されているからだ。