1932年福岡県生まれ。早稲田大学文学部ロシア文学科中退。66年「さらばモスクワ愚連隊」で小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で第56回直木賞。76年「青春の門 筑豊篇」ほかで吉川英治文学賞を受賞。2002年には菊池寛賞、09年NHK放送文化賞、10年毎日出版文化賞特別賞を受賞。本紙連載「流されゆく日々」は16年9月5日に連載10000回を迎え、ギネス記録を更新中。小説以外にも幅広い批評活動を続ける。代表作に「風に吹かれて」「戒厳令の夜」「風の王国」「大河の一滴」「TARIKI」「親鸞」(三部作)など。最新作に「新 青春の門 第九部 漂流篇」などがある。
連載11064回 「鬱」をどう考えるか <13>
(昨日のつづき)
リスボンの暗い下町を歩いていると、ふと地の底から湧いてくるような歌声を耳にすることがあります。いや、ありました、と書くべきでしょうか。私の若い頃、もう半世紀以上も昔の話ですから。
それは古い建物の半地下にある酒場からきこえてくるファドの歌声でした。ファド…
この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。
(残り843文字/全文983文字)
【ログインしていただくと記事中の広告が非表示になります】