慶応の特待生制度 “最大で総額1000万円”を断った学生が行く東大理Ⅲはどんな場所?
私立大医学部で圧倒的な力を誇るのが慶応。治療・研究スタッフの陣容、施設の充実度、関連病院の数など、どれをとってもナンバーワンであるのは衆目一致するところ。偏差値でも他を寄せつけず、私大系頂点の医学部として君臨してきた。
6年間の学費は2206万円。かつては私立で一番安かったが、他校が次々に値下げに踏み切り、23年度は私立31校中5位になっている。「他が学費を下げたからといって、人気はまったく揺らいでいない。学生の質も非常に高く、国公立をも凌駕する」と自信たっぷりに話すのは同大の内科系の教授だ。
とはいうものの、慶応側も他校の学費値下げの動向には敏感に反応している。優秀な学生を集めるべく、8年前から特待生制度を導入。一般入試の成績上位10人前後に返済の義務のない奨学金を支給するようにしたのだ。1~4年次に毎年200万円が支払われる。5~6年次は進路によって、さらに100万円ずつが支払われ、最大で総額1000万円の支援を受けることができる。
ただ、せっかくのこの制度も、大学側の期待通りには機能していないという。特待生は合格発表時に公表されるのだが、その全員が入学するわけではないからだ。実際に権利を行使するのは半数程度。年によってはそれ以下になることも。特待生になっても、他大学に流れてしまうのである。