ハトをひいたタクシー運転手を逮捕…その必要はあったのか
都内のタクシー運転手が、今年11月に路上でタクシーを急発進させてハトの群れに突っ込み、ハト1羽をひき殺したとして、鳥獣保護法違反の疑いで逮捕されたそうです。この逮捕については、警視庁が今月5日にマスコミに発表し、SNSなどで話題になっています。
事実関係についての情報が十分ではないため、今回の事案が鳥獣保護法違反に当たるのか否かという点については不明です。むしろ、今回問題点として指摘されているのは、タクシー運転手を逮捕する必要があったのかという点です。
まず、逮捕が認められるためには、簡単に言いますと、犯罪の嫌疑という逮捕の理由があって、なおかつ年齢、境遇、犯罪の軽重などから逃げ隠れしたり証拠隠滅を図る可能性があるといった事情(逮捕の必要性)がある必要があります。
しかし、今回のハト事件に関しては、運転手の方は身元がはっきりとしていて、まさにタクシー運転手という定職にも就いている方です。また、タクシーにはドライブレコーダーが付いているでしょうし、ハトをひいたとされるタクシー自体も押収されているでしょうから、客観的な状況を裏付ける証拠も捜査機関の手中にあり、隠滅のしようがありません。一方で、故意か過失かといった点は重要ですが、「故意にひきました」という自白をとるために逮捕するのは、まさに自白の強要・人質司法の典型です。