小動物とぶつかった感覚でそのままに…ドライバーは車のひき逃げを自分で判断してはいけない
先日、自動車で通勤している際に、急に「ガタッ」と音がしたので、何かと思って車を止めて確認をしたら、路上に木材片が落ちていました。これがもしも、生き物や、ましてや人だったらと思うとゾッとしました。
今月、福島県会津若松市の42歳の男性が駐車場で乗用車を発進させた際に、近所の女性(88)を右前タイヤなどではねて死亡させたとして、過失運転致死罪と救護義務違反(ひき逃げ)の疑いで後日逮捕された事件がありました。
当初は熊に襲われたのかと騒がれたこの事件。男性は何かに当たった記憶はあるが、小動物とぶつかったような感覚だったので、そのまま出掛けたとの認識だったようです。
「人」ではなく「動物」とぶつかったとの認識であれば、故意にその場から去ったわけではないので、ひき逃げには該当しないように考える人もいるでしょう。
しかし、法律の解釈はそう簡単なものではありません。明確に「人」と認識していなくても、例えば、「人」にぶつかったかもしれないけどまあいいか、行ってしまおう、といった認識の場合でも故意があるとされています。そして、交通事故の場合は、ドライブレコーダーや防犯カメラなどによって、事故状況がある程度客観的資料に残されていることが多いものです。本人が「人をひいたとは思わなかった」と主張しても、事故発生時の衝撃、音や声の有無や内容、自己態様や車両の損壊状況などによって、「人とぶつかったと認識していたはず」として逮捕され、裁判でもひき逃げが認められることもあります。