「いじめられる側にも問題がある」にモノ申す! フランスと日本における“いじめ対策”の決定的な差

公開日: 更新日:

「日本人は時間に厳しい」はウソ

「日本人は時間に厳しいと言うけど、あれウソだよね。始まりの時間は守るけど、終わりの時間は守らないじゃん」

 これは、日本で働いているヨーロッパ出身の友達に言われて、目からウロコだったこと。確かに、日本は残業が多く、労働時間が長いことで知られている。厚生労働省などが発表している、「週50時間以上働いている人の割合」を見ても、世界のトップを走っている。

「週50時間以上」というと、「月200時間以上」のペースで働いている人が三人に一人近くもいるという状態。年間の労働時間も、ドイツと比較すると約1.3倍となっていて、時間が限られている人生においてこの差はスゴいと思う。

 それだけ長い時間働いて、身も心もクタクタになれば、とてもじゃないけど、「政治に関心を向け、投票に行く」なんて余裕はなくなる。実際に、「働きすぎている国ほど、投票率が低い傾向がある」とヨーロッパで教わった。社会で起きている問題に対して、“不感症になり、不干渉になる”。

 そうなってしまえば、権力側・管理側は暴走しやすくなり、社会はさらに悪いループに突入する。そもそも、始業時間には厳しく、終業時間にはルーズということそのものが(残業代をふまえても)、権力側・管理側に有利に思える。同調圧力や空気に抗うのは、勇気も体力もいることだと思うけど、それをしない限り自分は何かを奪われ続ける。

 僕も異常に長時間労働を強いられる仕事についたことがあるから痛いほど分かる。自分の命の時間や権利が守られるようにするためには、勇気を出して自分が少しずつでも抗うしかない。

▽谷口たかひさ(たにぐち・たかひさ)1988年大阪生まれ。日本の大学在学中に留学費用の工面のため10代ながらインターネットビジネス会社を起業し、イギリスのマンチェスター大学へ留学。卒業後、チェーンストアのエリアマネージャー、アフリカのギニアでの学校設立支援、メガバンク/M&A/メディアのコンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験。その後、社会の課題解決を志してドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに、気候危機の発信や日本では報道されない世界情勢にまつわる講演を開始。世界中から講演に呼ばれるようになり、日本では1年で515回、全都道府県での講演を達成。2021年には国連総会の司会とスピーチも務めた。趣味は旅と勉強で、訪れた国は約80ヵ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め30個以上。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…