「2024年問題」直撃で深刻なバス運転手不足…合同採用説明会で行われていた“争奪戦”の熾烈

公開日: 更新日:

 深刻な人手不足に悩むバス業界。「2024年問題」の影響でバス会社は減便などを迫られ、事業の継続が困難になった大阪府の「金剛バス」は路線バスを廃止した。業界は運転手を確保しようと必死になり、採用説明会が毎週のように開かれている。6月に都内某所で開かれた合同採用説明会に、日刊ゲンダイ記者が潜入した。

  ◇  ◇  ◇

 会場に入ると、100坪ほどのホールに30社以上のブースが、所狭しと並んでいた。どちらかといえば若者が少なく、中高年の求職者が多い印象だ。各社のブースには入れ代わり立ち代わり人が訪れ、賑わいを見せていた。

 記者が何げなく立ち寄ったのが、神奈川県西部などを中心にバスを運行する企業のブース。席に座るなり始まったのが、賃上げアピールだ。採用担当者は「業界は人手不足解消に本腰を入れており、春闘で結構な賃上げが達成されました。今は賃上げ合戦で、運転手の奪い合いさえ起きています」と言う。実際、会場では「給料〇%アップ!」といった張り紙があちこちに貼られ、賃金アップを猛烈にアピール。提示された初任給は、おおむね22万円程度だった。

■採用前から休日出勤を要請

 しかし、それでも運転手は足りていない様子。ブースで渡された1カ月の出勤表の例を見てみると、第1土曜日と第3土曜日が「休日出勤」と書いてあった。すかさず採用担当者が説明する。

「心苦しくはありますが、運転手の皆さんには休日出勤をお願いしています。採用する前からこんな話をするのもアレですが、そうでもしないと回らないんです。もちろん、休みの希望はできるだけ応えますし、時間外勤務手当が出ますので、稼ぐチャンスと思っていただければ……」

 1社のみならず、説明を聞いた6社全てが、休日出勤を要請していた。どこも人手不足だということを改めて実感した。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  2. 2

    シニア初心者向け「日帰り登山&温泉」コース5選 「温泉百名山」の著者が楽しみ方を伝授

  3. 3

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  4. 4

    斎藤元彦氏猛追の兵庫県知事選はデマと憶測が飛び交う異常な選挙戦…「パワハラは捏造」の陰謀論が急拡散

  5. 5

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  1. 6

    兵庫県知事選「頑張れ、斎藤元彦!」続出の異常事態…まさかの再選なら県政はカオス確実

  2. 7

    別の百条委メンバーも兵庫県知事選中に「脅迫された」…自宅前に県外ナンバーの車、不審人物が何度も行き来、クレーム電話ひっきりなし

  3. 8

    悠仁さまの処遇めぐり保護者間で高まる懸念…筑付高は東大推薦入試で公平性を担保できるのか

  4. 9

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末

  5. 10

    異様な兵庫県知事選の実態…斎藤元彦氏の疑惑「パワハラは捏造」の臆測が急拡散

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末