高額医療費見直し「現役世代の負担軽減」は政府の詭弁…恩恵どころか、弱者に負担を付け回し
弱者切り捨て以外の何物でもない。福岡厚労相と加藤財務相の大臣折衝で決められた「高額療養費制度」の見直しのことだ。政府は今年8月から、月あたりの負担上限額を引き上げる。「現役世代の負担軽減につながる」と見直しの意義を強調するが、制度利用者の実態すら把握していない。
高額療養費制度は、医療機関や薬局での窓口負担が一定額を超えた場合に、払い戻しを受けられる仕組み。患者の過度な支払いを防ぐセーフティーネットだが、政府は臆面もなく手を突っ込んだ。今年8月から3段階で上限額を引き上げ、2027年8月に平均所得層(年収約370万~約770万円)は最大5万8500円の負担増を余儀なくされる。
■被保険者1人あたり、わずか月92~417円の軽減
政府は引き上げの理由について「現役世代の負担軽減」を金科玉条のごとく掲げるが、恩恵は微々たるもの。厚労省の試算によれば、見直しによって保険料は年3700億円が軽減されるという。ざっくり被保険者1人あたり月92~417円の軽減に過ぎない。全国保険医団体連合会(保団連)事務局次長の本並省吾氏が言う。