為替トレンドが約3カ月ぶり「円高・ドル安」水準に…賃上げにも暗雲、この先どうなる?
長引く円安物価高が原因で、今月も食料品677品目が値上げとなった。その一方で、円安傾向だった為替トレンドがここへきて急速に円高へと変わったことをご存じか。
一時は約33年ぶりの152円台が目前だったが、先月後半に149円台となり、4日は一時146円台前半まで上昇。9月中旬以来、約3カ月ぶりの円高・ドル安水準となった。この影響で日経平均株価も下落し、一時400円超の下げ幅となった。
円高・ドル安が急加速したのは「米FRB(連邦準備制度理事会)による利上げが終了する」という観測がマーケットに広がったためだ。米長期金利が低下し、日米の金利差縮小が意識され、円買い・ドル売りが強まったという。
「米の利上げ終了観測は、米景気の後退予想があるからとされていますが、それ以上に中国経済が立ち行かなくなっていることが大きい。実は先月のAPEC時に米中首脳会談と、イエレン米財務長官・中国副首相の会談も行われた。これを機に、FRBが利上げではなく金融緩和の方向に変わったようなのです。中国を攻めすぎて経済を殺してしまったら元も子もない。そうした配慮があったのではないか。ドルはあらゆる通貨に対して全面安になっています」(経済評論家・斎藤満氏)