トランプの「金本位制」復活ブチ上げに現実味…関税への警戒感から価格は史上最高値更新
トランプに近いメディア、シンクタンク「検討すべき」
保守系テレビFOXは大統領選前の昨年夏から、こうした金購入を勧めるCMを頻繁に流していた。また、保守系シンクタンクのヘリテージ財団は、次期大統領のアジェンダ(政策)として「金本位制への回帰の実現感応性を検討すべきだ」と提言した。いずれもトランプ氏に極めて近いメディア、シンクタンクだ。
金本位制は、通貨の価値の裏付けとして「金」を位置付け、金と通貨の交換を国が保証する仕組み。1971年の米国が金とドルの交換を停止し、変動相場制に移行した、いわゆる「ニクソン・ショック」まで続いた。その時計の針を半世紀前まで戻そうというのがトランプ氏のバックボーンである共和党保守強硬派の主張だ。
トランプ氏はバイデン政権下で進められた過剰なマネーの供給が高インフレを招いたと攻撃。金本位制に戻せばマネーの供給は金保有量により制限され、FRBの裁量で自由にマネー供給を増やすことができなくなるというわけだ。
ワールド・ゴールド・カウンシルの統計では、4月7日現在で、世界最大の金保有国は米国の8133.46トン。外貨準備に占める金の割合は76.4%に達する。2位はドイツで3351.53トン、外貨準備に占める金の割合は75.6%。次いでIMF、イタリア、フランス、ロシアと続く。中国は2289.51トンで、前年比32.04%増と増加額は突出しているが、外貨準備に占める金の割合は6.0%に過ぎない。ちなみに日本は845.97トンで、外貨準備に占める金の割合は6.2%とほぼ中国と同水準だ。
トランプ大統領は、関税戦略と並行してFRBに金利引き下げを求めるなど、ドル安誘導による輸出増をもくろんでいる。だが、それは基軸通貨ドルの地位を危うくしかねない道でもある。「金本位制に復帰すれば、ドルの基軸通貨の地位は安泰となる」(市場関係者)だけに、「逆ニクソン・ショック」があるかもしれない。