DeNAラミレス監督に聞いた 「捕手に配球サイン」の真意は
DeNAのチーム改革に邁進するラミレス監督が、最も重要視するのはコミュニケーション。選手、コーチとどのように意思の疎通を図っていくつもりなのか。外国人監督として「言葉の壁」をどう乗り越えていくかなどを語ってもらった。
■コーチたちと意思疎通できることが大事
――ラミレス監督は組織内のコミュニケーションを重要視しています。
「それは現役時代から考えていたことなんだ。勝つ組織をつくるためには、コミュニケーションが土台になる。選手との意思の疎通はもちろんだけど、基本となるのは各コーチとしっかり意見交換ができること。チームとして和を感じられること。それができれば優勝するだけでなく、長い期間、Aクラスで優勝争いできるチームになるはずだ」
――コーチとのコミュニケーションで大事にしていることは何ですか?
「一番は相手を理解することであり、聞く耳を持つこと。そして、自分が話をしているときは相手に聞いてもらう、相手が話をしているときは自分がしっかり聞くこと。監督というのは、コーチに対して『こうしてくれ、ああしてくれ』と一方通行で話をしていると思っている人も少なくないと思う。でも、自分は相互のコミュニケーションを大事にしたい。監督、コーチ同士でしっかりと意見交換をして、意思決定をしていけたらと思っているよ」
■外国人が日本で成功するための言葉
――選手とのコミュニケーションはどうですか? 先日は、外野手の荒波と通訳なしで1対1で会話をしていました。日本語も相当理解していると思いますが、言葉の壁をどう乗り越えていこうと考えていますか?
「確かに自分自身、日本語がペラペラではないことは理解している。だからシーズン通して、もっと日本語を学んでいこうと思っている。妻が日本人だから、常に勉強もしているしね。だからそれほど心配はしていない。それに、僕が監督として指導するのは米国の野球ではなく、(14年間プレーした)日本の野球、『ジャパニーズ・ベースボール』。そこに訳は必要ない。(笑顔で)ダイジョウブ!」
――外国人選手に対してはどうですか? 監督は現役時代、外国人選手が日本で成功するためには、「しょうがない」「はい、わかりました」「頑張ります」という3つの言葉を理解することが大切だと説いていました。
「そうそう! キャンプ序盤にも(新外国人の)ロマック(前ダイヤモンドバックス)に、そのことを伝えたよ。日本に初めて来たガイコクジン選手は日々、野球の違い、文化の違いなど、理解しづらいことに直面する。僕自身も日本で適応する上で一番苦労したよ。だから、監督、コーチから何かを指摘されれば『しょうがない』と割り切り、『はい、わかりました』と素直に受け入れ、『頑張ります』と前向きでいることが大事。日本人選手でも、コーチから指導されたときに『しょうがない』と思うときもあるでしょ?(笑い) それと同じことだよ」
――外国人選手のモチベーションを上げるコツはありますか?
「ガイコクジン選手は、1日でモチベーションが失われてしまうことがある。たとえばメジャーからやってきて、キャンプの実戦で20打席ノーヒットで成績を残せず、二軍落ちになったらモチベーションはガクッと落ちる。日本人選手は1年目、2年目の選手も、ベテランの選手も、20打席ノーヒットなら『頑張ります』と言ってマシン相手に打ち込みをし、ベンチで一生懸命、声を出すよね。ガイコクジン選手は入団1年目から高いお金をもらえるから日本でプレーするというのが第一。僕もそうだった。周りも活躍して当たり前だろうという感覚がある。成績を残せなかったら、球団はそれだけ高いお金を払っているのだから、価値に見合わないと判断した時点で、勝つために日本人選手を使わざるを得なくなる。そういう状況もあるから、日本人選手よりもガイコクジン選手の方が、高いモチベーションを持たせ続けるのは難しいと思う。そういう状況の中でベストな選択をしたい」
――では最後に、今年の意気込みを。
「全体ミーティングでも言ったことだけど、選手には最初からCS(クライマックスシリーズ)を狙おうとは思ってほしくない。最終的なゴールはリーグ優勝して日本一になること。それができると常に思いながら、戦っていきたい」