男子100kg級・羽賀龍之介は銅 “内股”へのこだわり裏目
世界王者のせめてもの意地だった。
11日(日本時間12日午前5時)の100キロ級3位決定戦で、昨夏の世界選手権覇者・羽賀龍之介(25)が三角絞めで一本勝ち。小内刈り、大内刈りの連続技で相手を崩すと、そのまま寝技に持ち込み、同階級では4大会ぶりのメダルとなる「銅」を手にした。これで男子柔道は、ここまでの5階級すべてでメダルを獲得。最低限の責任を果たした羽賀は、「目標は金メダルだけだった。そのモチベーションがなくなって苦しかったが、終わってみればメダルがあるのとないのとでは違うと思う。取れてよかった」と涙をこらえて話した。
準々決勝でまさかの敗退。一昨年の世界王者で上背に勝るチェコのクルパレクの圧力に押され、伝家の宝刀とまでいわれる得意の内股を出そうにも、十分な組み手すら取れなかった。2度の指導を受けて優勢負け。消化不良のまま、五輪制覇への挑戦が終わっていた。
内股は、80年代に重量級で活躍した父・善夫氏からの直伝。それを、東海大相模高、東海大の先輩にあたり、同じく内股を武器にした井上康生男子監督の下で「必殺技」にまで昇華させた。