柔道女子57キロ級 松本薫は連覇ならず「銅」…野獣引退へ
8日(日本時間9日)、リオ五輪柔道女子57キロ級の松本薫(28)が準決勝で敗退。3位決定戦で有効を奪い、銅メダルに終わった。試合後、スタンドからの声援に目を潤ませ手を振った松本は「金メダルを目指していたので、どう切り替えようかと思ったけど、何も持たないで日本に帰れないと思いました」とうつむいた。
前回大会のロンドン五輪では金メダルを獲得。獣を彷彿させる試合前の鋭い目つき、畳の上で相手に猛然と向かっていくそのしぐさから「野獣」の呼称で一躍有名になった。独特の表現や不思議な言動も注目され、代表決定後の会見でも「野獣は野獣でも、知性ある野獣ということで」とニヤリ。女子柔道の注目を一身に集めてきた。
今回のリオでも早くから連覇が期待されていたが、ロンドン後に手術をした右ひじの不調が影響して国際大会で苦戦を強いられることも。年齢からくる衰えを指摘する声も大きくなった。
松本は昨年5月、初戦負けを喫したワールドマスターズから帰国すると、「今の役割は今度のオリンピックで終わりだと思っています。20年(東京五輪)の時には、違う役割になっていると感じています」と明言。リオを最後の舞台と決めていた。授賞式後、畳に一礼すると首にかけられた銅メダルを外し、「(力を)出し切りました。うれしいのと悔しいのと、甘酸っぱい感じです」と吹っ切れたような笑顔を見せた松本。解説者か指導者かタレントか、野獣の目はすでに「違う役割」を発揮する舞台を見据えている。