悪状況で崩れぬイ・ボミ 風に弱い日本女子との決定的違い
上位を目指さなくても、周りが崩れて好位置が転がり込んできたのだ。
■イ・ボミのバックスイングは「コンパクト」
風が吹くとなぜ日本選手はアマチュアのように簡単にスコアを崩すのか? 強風だった全豪シニアオープンを制した田原紘プロが、「風に負けないように打ちたいと思えばインパクトが強くなってかえってショットは曲がる。風の中では距離を欲しがっちゃいけない」と指摘する。
「風が強い時にはボールを叩いてはいけない。その昔、真冬の多摩川河川敷コースで中村定吉プロ(中村寅吉プロの実弟)から空中にもOBがある、土手より高く打つなと教わった。ティーアップを低くして、上からボールをつぶそうと思わないで、ウエッジのようにボールをフェースに乗せる打ち方が風の中では効果的。しかし日本選手は練習不足や強風に不慣れということもありますが、どんな状況でも飛ばしにこだわっている。風の中でもトップを深く入れている。しかし、イ・ボミのバックスイングはコンパクトで、日本選手のように決して体を大きく回していない。強風の中でも無理をしていない。日本選手は自分の感覚よりも、教わったスイングを忠実に守っているから、強い風が吹くと対応できなくなるのです」
風の中でムキになってプレーしたか、ムキにならなかったか、が成績に直結したのだ。
状況に応じた戦い方を知り尽くすイ・ボミのうまさが光ったわけだ。