ヒヤヒヤの連勝…稀勢の里が悩む肉体と実戦感覚の不一致

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 横綱としては「勝負で勝ったが、相撲で負けた」といったところか。

 白星発進の稀勢の里(32)は10日、小柄ながらパワーとスピードを兼ね備えた押し相撲の貴景勝と対戦。これまで1勝2敗と負け越していただけに、やりづらい相手だったのは確かだろう。立ち合いで一気に土俵際に追い込まれると、引き技をモロに食らって体が前に泳いでしまった。なんとか残すも、貴景勝にすかさず攻められ、万事休す――と誰もが思ったはずだ。

 しかし、稀勢の里はピンと伸ばした右足を徳俵にかけて粘ると、トドメを刺そうとする貴景勝を右からの突き落とし。

 崖っぷち横綱の大逆転に、館内には割れんばかりの歓声が響いた。

 支度部屋では「集中してやりました。また、しっかり集中してやります」と話した稀勢の里に対し、敗れた貴景勝は「負けたんで……負けは負けっすから」とタメ息。悔しさを押し殺すように、「過去のイメージ? 今までのことは全部忘れて、初対戦の気持ちで臨んだ。(横綱を)崩しきれなかった。自分の弱さだと思います」と続けた。

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